何十年前の写真を見つけて、遠い記憶を突然思い出し、「懐かしいなあ」と思ったことがありますか?新聞紙を読む時、写真を見て心に衝撃を受けたことがありますか?もしくは、博物館に陳列されている大昔の肖像写真や歴史的建築物の写真を観覧する際に、時空間を乗り越えるような不思議な対話ができたと思わせる瞬間があったでしょうか?
「写真」が生まれたとき、最初の定義としては「記録」という機能を持つメディアとして始まりました。ブリタニカ国際大百科事典小項目事典の解説によると、「記録写真」とは伝達媒体にかかわりなく、事実を客観的に描写し、内容的に資料的価値をそなえたものであるとされています。
人間は、目の瞬きを1分間に約20回繰り返し、1時間で1,200回、1日16時間起きているとしたら、約1万9,200回、1年で約700万回の瞬きをします。カメラのシャッターを切るとき、それは人が瞬きをする瞬間に似ています。私たちが、瞬きをする瞬間、私たちは目の前の景色を写真に撮るようにして、頭の中に記録されるデータとして残しているのかもしれません。
70歳まで生きられると想定すると、私たちは人生のうちに5億回瞬きをすることになります。瞬きの瞬間ごとに目の前の景色が私たちの頭の中に記録され、その記録はやがて記憶となります。写真を撮るということは言い換えれば個人が持つ感情の他者との共有であり、シャッターを押す瞬間はすなわち心がふるえる瞬間であると捉えることができます。
©趙柏鈞 〈はままつ:瞬く〉(2020)
本展では、「はままつ:瞬く」というテーマで、中国出身の写真家・趙柏鈞氏が浜松を初めて訪れ、「浜松」という町に対する独自の理解を込めて、目を瞬く一瞬一瞬の景色を記録し作られた新作を含めて紹介します。これは浜松に住む人々の心の奥に、閉じられた記憶の箱を開ける「鍵」になるかもしれないし、私たちの心を瞬かせるきっかけになるかもしれません。
写真展「はままつ:瞬く」
会期:2020年9月28日(月)~10月4日(日)
開催時間:9:00~21:00(最終日18:00閉場)
観覧料:無料
会場:鴨江アートセンター・101号室
トークイベント「記録写真の撮り方と見方」
開催日:2020年10月3日(土)
開催時間:14:00〜16:00
会場:鴨江アートセンター・101号室
参加費:無料
定員:10名(先着順)
対象:高校生以上
持ち物:参加申し込み完了後、自分で撮影した写真のうち好きな1枚を選び、
データをE-mailにて鴨江アートセンター(k.a.c@kamoeartcenter.org)までお送りください。
データ形式ではない場合は当日ご持参ください。
主催:浜松市鴨江アートセンター(指定管理者:浜松創造都市協議会・東海ビル管理グループ)
- 新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、開催内容の変更、延期等の可能性があります。
- 入場時の手のアルコール消毒、検温、マスクご持参の上の着用にご協力お願いいたします。
- 会場内の写真が鴨江アートセンターのウェブサイトなどに掲載されることがあります。
イベント情報
開催日 | 2020年9月28日(月) - 10月4日(日) |
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開催時間 | 9:00~21:00(最終日18:00閉場) |
会場 | 鴨江アートセンター 1階 101 |
主催 | 浜松市鴨江アートセンター(指定管理者:浜松創造都市協議会・東海ビル管理グループ) |
プロフィール
趙 柏鈞(チョウ・ハクキン)
写真家。1992年、中国山東省生まれ。2016年、北京電影学院(中国)撮影学院写真専攻卒業後、来日。2019年、日本大学大学院芸術学研究科写真芸術分野修了。現在は東京を拠点として企業に勤める傍ら、写真家として活動している。